福祉体験学習ガイド

4.体験学習

(5)ボランティア体験

Q4-5-1:ボランティア活動を通して子どもたちは何を学べるでしょうか?

  ◆自発性が身につけられます

  ボランティアで大事なのは、「自分で進んで」行う活動であることです。「誰かに言われたから仕方がなく行う」というよりも、自分たちで考え、自分たちで決めたことだから、責任をもってやるという心構えがボランティアでは必要とされます。ゆえに、子どもたちがボランティア活動をやりたいと言い出したときには、先生方もその自発性や主体性を尊重して、後で見守ることがとても大切なことになります。
  ある学校で盲導犬を使っている視覚障害者をゲストティーチャーに招いたときに、その人がまちのレストランに入れないで困っていることを子どもたちは知ります。そこで、それを何とか出来ないかと子どもたちは動き出します。まずは、同じ学校に子どもを通わせているような親たちの店をまわって、盲導犬と一緒であったも店に入れるように説得していきます。それから、町じゅうのお店を説得してまわることになるのです。
 このように自発的に始まったひとつの活動がうまくいくと、本人たちの自信につながり、それがつぎの自発的な行動へとつながるのもボランティア活動です。

  ◆人と人のつながりについて考えられるようになれます

  私たちの周りには、いろいろな方が暮らされています。お年寄りや子ども、障害のある方やない方、病気がちな方や健康な方、お金のあり方やない方、家族がたくさんいる方やひとり暮らしの方、本当に様々です。その中には、様々な事情でやりたいことが自分でやれなかったり、生活に困っていたりする人もいます。
 ボランティア活動に取り組んでいると、この世の中はこんな異質な方がたくさんいることを実感できるとともに、少しずつでも互いに助け合って生きていくことが大切であることに気づかされます。しかし、他方で、誰かのために何かをしようとしても「誰かのために」なんてことはなかなか出来るものでなく、他者を理解することがいかに難しいかにも目が向けられるようになります。誰かを助けているつもりが、いつのまにか自分が誰かに助けられているというようなこともよくあることでないでしょうか。
  このように、ボランティア活動はつづけていくうちに、人と人の関係性や互いに支えあって生きていくことの意味や必要性について考えさせてくれます。

  ◆ボランティアってなあに?

  ボランティア活動とは、誰か困っている人がいたり、身近な地域や社会、自然環境などで課題を見つけたときに、それに対し役立つ活動を自発的に行うことです。
 こんな言い方をすると、すごく難しい、特別の人が行う活動のように聞こえてしまいますが、そんなに構えて行うような活動でもありません。「誰か道端で困っている人と出会ったときに気軽に声をかけて手伝うこと」や「地域の人たちで近くの川をきれいにしようと掃除をするとき」など、ちょっとした役立つ活動がみんなボランティア活動です。
 この社会、誰もがひとりで生きていくのは難しいので、できるだけ助け合っていくことが大切です。誰もができることから参加して、ともに生き、ともに学び、ともに育てるまちや社会をみんなで自発的につくっていければいいのでないでしょうか。

  ◆自分のまちや社会を住みやすくしていく力を学べます

  ボランティア活動の意義は、その活動が人と人の関係を越え、その活動が住みやすいまちや社会をつくるために、身近な地域やそれを越えた広い社会、それを取り巻く自然環境などに対し役立つ活動をしようというエネルギーや方向性を作り出していけるところにもあります。
 身近で困っている人や課題に対し役立つ活動を続けていくうちに、この地域やまちをどうすればよいのか、社会や自然環境をどう導いていけばよいのかを考えていけるようになり、それをより良い方向へ導く実践活動にも関心が向いてくるのです。
 以上のように、ボランティア活動は市民社会の一員としての「市民」意識や社会力を身につけさせてくれるものです。ボランティア活動に取り組む誰もが、こんな方向に目を向けていけるわけではありませんが、そんな力を身につけさせる可能性をもった活動と考えることができます。

コラム:ボランティアの四原則

「自発性」

   自分からこれだ!と自然にわきあがるエネルギーが決めてです。

 

「無償性」

      代償を求めるのではなく、心の充足感が大きな財産です。

 

「連帯性」

   互いの気持ちを尊重し、助け合って活動します。

 

「先駆性・開拓性」

   新しいテーマに積極的にアタックします。

 

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Q4-5-2:子どもたちにどんなボランティア活動ができますか?

  ◆自分の関心や興味があることから始めよう!

 ボランティア活動のよさは、‘好き’から始められるといえるところにあります。半ば強制的に行われる奉仕活動や、あらかじめテーマが決められている体験学習とは大きく異なる部分です。お年寄りが好き、子どもが好き、動物が好き、自然が好き、スポーツが好き・・・自分が好きなもの、関心がある事柄を糸口に始める事が、ボランティア活動の本質である「自発性」にもつながります。ボランティア活動の種類は様々です。まずは、子どもたちが個々に「自分は何に興味があるのか」「どんなボランティアがしたいのか」を考えたり、調べたりする時間を持つことが大切です。
 子どもたちが自分で見つけ、自分に合った活動と出会い、それが、社会的な課題(ニーズ)とうまくかみ合い、充実した活動に繋がったとき、他の活動や学習では得られない、自己の存在感や、他者との共生感が得られるでしょう。学校や教師側は、そのために可能な限りバックアップしていこうという姿勢が大切です。

  ◆福祉の分野に限りません

 子どもたちが取り組めるボランティア活動は、福祉分野に限らるものではありません。福祉領域、環境領域といって、縦割りに領域を分けようとするのは行政組織で、ボランティアは自分たちの感じた課題ややってみたいことに基づいて活動すればよいのです。ゆえに、地域性や学校の事情にに合わせて、子どもたちの自由な発想で、様々な取り組みを考えていけます。
 例えば、環境ボランティアといわれている自然保護や身の回りの生活環境の快適な保全を図る活動、地域の河川の掃除に取り組んでいる学校があります。また、国際ボランティアといわれている発展途上国や難民に協力る活動(文房具などを送る)に取り組んでいるところもあります。そう考えていくと、福祉領域の授業でなくても、児童や生徒が自主的な活動を通して社会に目を向け、自分もその社会の一員であり、その社会をよくしていこうということを自覚ができればよいのでないでしょうか。ただ、こんな時に、地域の河川掃除に積極的に取り組むお年寄りの姿や発展途上国で飢える子どもたちの存在にも気づかせてもられば、福祉に対しても関心が広げられるのでないかと思います。

  ◆ボランティアセンターに相談に行ってみよう!

  ボランティア活動の基本姿勢として「主体性」や「自発性」が大切です。ゆえに、子どもたちが何をしてよいか分からない場合には、教師がアドバイスをし過ぎるよりも、子どもたち自身でボランティアセンターや社会福祉協議会の支部に相談に行くように勧めてみたらどうでしょうか。そこでは、どんな活動が地域でなされ、どんな活動が求められているかを教えてくれますし、どんな活動ができそうかを一緒に考えてもらうこともできます。

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Q4-5-3:ボランティアの参加でどんなことに気を付ければいいですか?

  ◆無理をせず自分のペースで

  ボランティア活動は、楽しみながら長く続けていくことが大事です。「自発性」が基本とはいえ、相手があることですし、解決しなければならない課題もありますので、始めたらそう簡単にやめるわけにはいけない状況がでてきます。そこで、最初から、無理をしないで自分ができることを、自分なりのペースで始める必要があるのです。
  最初にたくさん引き受けて、すぐやめてしまうというのが、相手の期待を裏切ることにもなり、迷惑をかけることになります。ゆえに、学校で子どもたちと何かボランティア活動を始めてみたいと思った時には、子どもたちの関心がもてることや楽しんでやれそうなことから始めていただければよく、ただそれを長く続けられるよう無理ないペースで進めていってほしいと思います。

  ◆「相手のニーズに合っているのか」「課題解決につながっているのか」をつねに考えて

  ボランティア活動は「誰かのために役立ちたい」「地域や地球環境の課題を解決したい」という目標をもって行われるものです。ゆえに、つねに「その活動が本当に相手の役にたっているのか」「課題解決につながっているのか」を見直す視点をもつことが重要になります。ボランティア活動は、どこかで「してあげている」「自分はいいことをしている」という気持ちになりがちですが、それが相手の気持ちや課題解決の道とずれてしまうことも多いものです。学校でボランティア活動に取り組む場合にも、それが本当に役立っているのかどうかを見直す時間を持ち続けてほしいと願います。

  ◆約束や秘密は守る

  ボランティアは自分のペースで自由にできる活動とはいえ、訪問の時間に遅れたり、急に休んだりなど、約束をやぶることはよくありません。相手は約束をした時点で、自分の予定をそれに合わせて決めており、約束が守られないとその予定がみんなくるってしまうのです。待っていたのに、期待がはずれてがっかりということもあります。
  約束が守れないようなら、ボランティア活動はやらない方がましの場合もあります。急に休まなければならないときや遅れるときは、必ず連絡をとるようにしてください。
 また、ボランティア活動を行っていると、いろいろな家庭や機関のプライバシーや内情を偶然知ってしまうような場合があります。そんな場合には、そこで知ってしまった秘密をけっして漏らさないようにすることも教えておかなければなりません。

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