福祉体験学習ガイド

4.体験学習

(2)施設体験

Q4-2-1:施設でどんな体験がさせてもらえるのですか?

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  高齢者施設といっても、つくば市には、特別養護老人ホーム、老人保健施設、痴呆性老人グループホーム、デイサービス施設、デイケアサービス施設、老人福祉センターなど、様々な施設があります。その中の「特別養護老人ホーム」や「老人保健施設」「グループホーム」などは、そこにお年寄りが「入居されて生活される施設」ですし、デイやデイケア関係の施設は地域に暮らす心身の弱ったお年寄が「通所して介護やリハビリの支援を受ける施設」です。お年寄りの障害や病気の内容や程度、ケアの必要性によって施設の種類が分かれています。「老人福祉センター」のように、元気なお年寄りが生きがい活動のために利用している施設もあります。

◆小学生で出来ること

 これらの施設でどんなことができるのか。それは子どもの年齢によって、出来る活動がやや異なると思います。
 小学生の場合、子どもはかわいくて元気で、来てもらえるだけでうれしいというお年寄りがたくさんおられます。しかし、それにも限度があり、人数が多すぎたり、長時間いすぎたりすると、騒々しくて疲れたという苦情がくることもあります。内容としては、低学年の場合、何か施設のお手伝いをするというのは難しいですので、学校で練習してきた歌や合奏を聴いてもらい、あとはお年寄りと少し話をしてくるというのが一般的な活動です。劇や影絵をみてもらっているような学校もあります。ただ、このような活動も、子どもたちが一方的に見てもらっているだけでは、お年寄りもすぐ飽きてしまいます。お年寄りが一緒に歌えたり、参加できたりするものを用意しておくと喜ばれるようです。
 出し物を選ぶときには、お年寄りにどんなものが喜ばれそうか、子どもたちと一緒に考えてみることがとても重要です。子どもたちの提案がお年寄りの好みとずれてしまうこともあるのですが、その失敗の経験が子どもたちのつぎの機会に生きてくることもあるようです。
 少し高学年になると、お年寄りと一緒にできるレクリエーションプログラムを考えて、やってみるのも良い方法です。風船バレーなど、車椅子のお年寄りでも参加できそうなメニューをいろいろ調べてみましょう。このような出し物を終えて、一人ひとりの子どもたちがお年寄りに声をかけてみるように促してみるも大事なことです。声をかけてくれたことに感動するお年寄りも多く、そんなお年寄りの反応が子どもたちにまた新しい感動を与えることもあるようです。

◆中学生で出来ること

 中学生になると少し個別な関わりができるようになります。職場体験や施設実習というかたちで、施設職員と同じ仕事ができないかと希望される学校もありますが、その世話までできる十分な職員はおりませんし、施設利用者へのサービスの質を落とすこともできませんので、それは難しいと思います。しかし、間接的な部分でのお手伝いはできます。普段、施設で行き届かないような部分のお掃除や草取り、窓ふきといった仕事を手伝ってもらえると助かります。また、施設では毎日大量の洗濯物がでますので、その洗濯物たたみやオムツセット、おしぼり作りというお手伝いもできます。また、車椅子で施設内を散歩介助したり、入浴後の着替えや整容のお手伝いをするなど、直接介護にも関われることも少しはできるようです。
 窓ふきや草取りなどの大掃除で出かける場合を除き、このような個別なお手伝いで施設訪問を望む場合には、施設側の事情もありますので、あまり多人数では訪問しない方がよいと思います。また、子どもたちだけの訪問は、何度も施設経験があるような子どもや特に福祉への関心が高い子どもが出かける場合を除いて、避けた方が施設の迷惑にならないと思われます。引率については、学校の先生方だけでは難しそうな場合には、PTAや地域のボランティアに頼んでみることもできそうです。

コラム:感染症について

 高齢者福祉施設での体験やホームヘルプ体験などで、抵抗力の落ちている高齢者や寝たきり状態の方と接する場合、互いに感染症に対する注意が必要になる場合があります。ただし、通常は担当者の方の指示に従えばよく、必要以上に神経質になる必要はありません。
 流水と石けんによる手洗いで十分ですが、施設によっては消毒剤を使用することもあります。また、体験する皆さんが、高齢者の方に風邪などを移してしまう可能性もありますので、体調の悪いときは体験を見合わせることも必要です。

 

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  つくば市には、「知的障害児・者の入所施設」が4カ所、「障害者センター」と呼ばれるところが5カ所、障害者の「通所授産施設」が1カ所ほどあります。障害者センターでは、障害者が通所で生活訓練に通う「デイサービス」のほか、就学前の障害児のための「療育サービス」も実施されています。また、民間のデイサービス施設(障害児の学童保育所も含む)や通所の共同作業所も何カ所かあります。また、障害者施設ではありませんが、「養護学校」が近隣の土浦市や下妻市にあり、市内から多くの障害児が通学しています。このほか、つくば市には、聴覚障害者や視覚障害者のために特別が高等教育を行っている「筑波技術大学」という大学もあります。

◆知的障害者施設で出来ること

  知的障害者施設の訪問で留意しなければならないのは、そこで暮らしたり、通所している知的障害者と関わる場合に、その方々が積み重ねてこられた生活年齢(30歳ならば30歳として)を尊重し、その相手の尊厳を軽く見すぎないようにすることです。障害に目を向けすぎないで、誰も変わらない一人の人間として接することが大事でになります。この基本ができていないと、そこで生活している人々に不快な気持ちを与えてしまいます。
  このような施設で子どもたちができることは、知的障害者とともに一緒に作業をしたり、食事をしたり、レクリエーションを楽しんだりすることです。また、時には、その施設で知的障害者が身につけた技術を、知的障害者が先生となって子どもたちに教えてもらうこともできます。施設ごとに、部品組み立てや袋詰めなど、毎日、積み重ねてきている作業がありますし、紙粘土や陶芸、紙すき、木工作業など特殊な技術をもっている知的障害者もたくさんいます。その施設の特徴や日常生活を尊重しながら、施設ごとにできることを職員の方と一緒に考えてみてください。
 また、短い時間ならば、高齢者施設のように、一緒にできる歌やレクリエーションを考えていって、一緒にやることもできます。ただ、聞いているだけ、見ているだけという状態は苦手の人々が多いようですので、その気持ちも配慮のうえ、プログラムを組み立ててみてください。

 

児童福祉施設では

  つくば市内にある児童福祉施設としては、「保育所」が33カ所、「児童養護施設」が1カ所、「児童館」が17カ所があげられます。保育所は、お役所言葉で「保育に欠けている子ども」を親に代わって保育する施設で、親が共稼ぎで働いているような家庭、母子父子家庭で親が働いている家庭、親が病気や介護等で忙しくて子どもの世話ができないような家庭の乳幼児を預かって日中保育をしてくれます。保育所には、「公立保育所」と「民間保育園」がありますし、公的な資金が投入されている「認可保育所」と全く支援のない「無認可保育園」があります。保育内容や保育時間等にも、保育所によってかなりの差があるようです。
 児童養護施設は、親がいなかったり、親が病気だったり、何らかの事情で子どもの世話ができなかったりする場合に、子どもを入所させて、親に代わって養育してくれるところです。両親が死亡してしまった子どもが入所している施設と思われがちですが、実際はそんな子どもたちは1割程度で、親は生存していても何らかの事情で子どもの養育ができない家庭の子どもが暮らしているのが実態です。
 児童館は、子どもたちの健全育成を願い、子どもの遊びを支援する施設です。多くの施設には、親が留守家庭の児童の放課後の保育を行う児童クラブが併設されています。

◆児童福祉施設で出来ること

  児童福祉施設で子どもたちが出来ることは、自分よりも小さい年齢の子どもたちと遊んであげることです。保育所でも児童館でも、子どもたちの遊びを豊かにしてくれる人は大歓迎です。また、遊びの輪に入りきれないような子どもたちに声をかけて、遊びの輪に引き込んでくれる人がいると助かります。ゆえに、小さい子どもの面倒をみるのが大好きという子どもたちがいたら、こんな施設に向けてみるのもいいと思います。自分がまだ子どもなのですが、小さい子どもたちのお世話をしたり、いろいろな子どもに目配りをしている保母さんたちの仕事を垣間見るなかで、子どもたちが学ぶことも多いようです。
 ただ、児童養護施設に中学生を訪問させている学校がいくつか見受けられますが、ここには同年代の中学生も暮らしていますので、よほど慎重にこの訪問を企画しないと、そこで暮らす子どもたちの心を深く傷つけることになってしまいます。学習する側の子どもたちの関心や興味だけを尊重するのでなく、相手側の状況にも配慮しながら、そのプログラムを考えてみてください。

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Q4-2-2:施設側は子どもたちの訪問をどう感じているのでしょうか?

◆施設は利用者の生活の場です

  施設では、訪問に来られる方々みんなに、施設は利用者の生活の場であることをしっかり伝えています。施設には施設の生活リズムがあり、食事やおやつの時間、入浴やリハビリ、作業の時間、起床や就寝時間などがある程度決まっています。よく学校から、日付や時間を指定して、この時間でないと空いていないので、その日に訪問させてくれと一方的に頼まれることがあります。しかし、学校と同じように、施設には施設の生活リズムがあり、利用者が期待しているプログラムもあります。ゆえに、施設側も簡単に学校の予定に合わせて受け入れることはできないのです。その点を理解していただきたいと思います。
  また、全員の児童・生徒に体験させたいということで、大人数で施設を訪問され、動物園のようにあちこと見学されようとする学校がありますが、誰もが自分の生活を外側からジロジロ見られるのは気持ちの良いものではありません。そう考えると、施設訪問をする場合には、他人の家庭を訪問するときと同じように、相手に対する気遣いや配慮が必要ということになります。

◆ねらいを明確に!打ち合わせをしっかり!

  施設利用者と子どもたちの間でいいふれあいが出来たと思える訪問は、教師と施設で十分な打ち合わせができていて、当日、施設側でも十分な準備ができたときです。打ち合わせや準備がほとんどないまま、子どもたちもただ訪問についてきただけという場合には、何をしていいか分からず戸惑う子どもも多く、職員の方でもそれをどうフォローしてよいか分からないというのが現状です。
 ゆえに、先生方も施設訪問を計画される場合には、子どもたちに何をさせて、何を学ばせたいのかを明確にして、打ち合わせで施設側にもそれをしっかり伝えていただきたいと思います。どんな活動ができるのか、何を目的としてよいか迷われるような場合には、子どもたちの様子や関心ごとをお伝えいただければ、こちらから提案できる活動内容があるかもしれません。施設訪問時の出し物を検討されている場合には、過去の経験からお年寄りや障害者が喜ぶメニューをお伝えすることもできます。とにかく、是非とも打ち合わせをしていただきたいと思います。
 それに加えて、先生方自身の事前体験もお勧めします。施設や利用者のことをそれなりに理解していていただけると思いますし、これから施設訪問をしようとしている子どもたちの関心や意欲を高めることもできるのでないでしょうか。事後学習時のアドバイスもしやすくなるように思います。

◆相談は早めに、余裕をもって

  つぎの時代を担う子どもたちのためと考え、施設も学校からの依頼はできるだけ受けるようにしています。しかし、訪問予定日の2,3週間前くらいに電話がかかってくることが多いのが現実で、そのくらいになってしまうと、施設側の予定も動かしがたいように決まっていますし、打ち合わせの時間を設けるのも難しくなってきます。大体の施設では受け入れ担当者が決まっていて、訪問日にはその職員が出るようにしたいのですが、あまり間際に申し込まれると、ローテーションを変えることは難しく、準備も当日のフォローも適当になってしまいます。また、子どもたちの訪問をを施設側のイベントと組み合わせて実施すると、施設利用者に喜ばれそうだと感じたとしても、ギリギリではそれを計画に組み込むのは難しいという状況になってしまいます。
 そこで、施設訪問を計画する場合には、出来れば2ヶ月前、遅くても1ヶ月前に連絡をいただけると、よりよい協力ができると思います。

コラム:施設訪問はなるべく少人数で

 施設体験を企画する場合には、1つの施設に訪問する子どもの人数について事前によく検討しておく必要があります。学校側の事情で考えると、1つの施設で出来るだけ多くの子どもたちを連れていきたくなりますが、お年寄りや障害者等の生活の場である施設に、一度にあまりたくさんの子どもたちが訪問すると、その生活リズムやペースは乱れてします。また、子どもたちのためにも、人数があまり多すぎると、施設側の方で、子どもたちと施設利用者がうまく関われるようにフォローをしてあげたいと思っても、それがうまく実現できなくなります。
 そこで、施設訪問をする場合には、ある程度人数を絞り込む方がよいと思います。ある施設職員の話によると、半日や1日単位のボランティア活動体験で受け入れるとしたら、1回に数名が限度だろうと言っていました。10名以上になると、一人ひとりのフォローが難しいようです。清掃や草取りのお手伝い、楽器演奏や合唱などの披露、一緒に行うレクリエーションなどの場合はやや大人数で大丈夫のようですが、それでも20〜30名程度が限度のようでした。実際には、これ以上の人数で訪問している学校もありますが、あまり多すぎると遊んだり、その場にとけ込めない子どもたちがたくさん出てしまっているようです。そのへんの事情を考え、施設体験をする場合には、1施設への訪問人数、訪問施設数について慎重に考えていきましょう。

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Q4-2-3:施設訪問を意味のある体験にしていくには?

◆1回のイベントに終わらせない取り組みを

  施設訪問を意味のある体験にできるか否かは、その訪問を1回限りのイベントで終わらせてしまうか、その訪問体験からつぎの取り組みが考えていけるかにかかっています。そのためには、1回目の訪問体験が真剣に取り組まれている必要がありますし、そこで感じたことや気づいたことを十分に見つめ直し、そこからつぎに何に取り組まなければならないかが考えられ、実施に移されていく必要があります。


◆出来れば複数回の訪問を

  他者を理解する基本が相互コミュニケーションにあるように、施設のことや施設で暮らされている人々を理解しようとした場合にも、やはりコミュニケーションを繰り返していくことが重要になります。1回目の訪問や見学で感じてきたことや考えてきたことがあり、それを学校に持ち帰り、一緒に訪問した仲間みんなで考え直し、そこで気づいたことをつぎの訪問で行動に移してみて、見えてくるものがあります。
 私の学校でも、1回目の訪問で子どもたちの劇をみてもらったのですが、声が小さくて聞こえなかったのか大した反響がありませんでした。そこで、子どもたちと話し合って、お年寄りには声が小さくて聞こえなかったのかもしれないので、つぎの施設の公演では声を大きく出してみようということになりました。それで、それを行動に移してみると、とても反響がよく、子どもたちも満足できたというようなことがありました。また、1回目の訪問で歌詞カードをもっていった歌がお年寄りに受けなかったのに対し、つぎの訪問で歌を選び直してみると、お年寄りが喜んで一緒に歌ってくれたということがあり、相手の身になって考えることの大切さを子どもたちが感じてくれたようでした。
 ゆえに、施設訪問も複数回の訪問が重要だと思います。しかし、それが学校の事情で難しい場合には、1回目の訪問で感じたことや気づいたことを、身の回りで活かせていけるような新たな行動を考えて見ることも重要なようです。

 

福祉施設ってどんなところ?

♪特別養護老人ホーム

 65歳以上で心身に著しい障害があるため日常的に介護が必要で、自宅で介護を受けることが困難な方のための入所施設です。介護や日常生活場のお世話が中心です。

 

♪グループホーム

 痴呆の高齢者が共同生活を営むための施設です。食事・入浴・排泄などの介護、機能訓練を受けられるほか、レクリエーションなども行います。


 

♪介護老人保健施設

 病院等での医療(治療)行為を終えられた方で病状の安定した方が、自宅に帰られるまでの回復期間に利用することが出来ます。リハビリや介護、日常生活上のサポートをします。

 

♪知的障害児施設

 知的障害があり自宅で生活することや就労が困難な18歳以上の方のための入所・通所施設です。自立更生に必要な日常生活訓練や作業を行っています。

 

♪デイサービスセンター

 日帰りで利用する通所介護施設で、食事(昼食)・入浴などの介護や、機能訓練、レクリエーションなどのサービスをします。

 

♪障害者センター

 就労することが困難な在宅の心身障害者のために、通所で作業訓練・生活訓練等を行う施設です。

 

♪デイケアセンター(通所リハビリ)

 介護老人保健施設や病院・診療所などで日帰りでリハビリを中心としたサービスをします。食事(昼食)や入浴もできます。

 

♪児童養護施設

 様々な事情により両親や親族の養育を受けることが困難な幼児・児童を養護するための施設です。施設から地域の幼稚園や学校に通います。


 

 

コラム:引率で訪問した父母たちの変化

  私の中学校では、2年生で福祉の学習に取り組みことになったとき、学年の子どもたち全員に施設体験をさせたいと考えました。いろんな方のアドバイスを聞いていると、どうも施設訪問は、少人数で複数回数訪問で行うのが意義深い経験ができそうでした。また、子どもたちだけで訪問させると、施設に迷惑をかける子どもたちもいるようで、やはり引率者はつけた方がよさそうでした。そこで、PTAの学年委員さんに相談すると、その送迎や引率は学年の父母で協力してくれることになり、市内の×カ所の施設で、子どもたち×人、計×回の訪問が可能となったのです。
 その結果、子どもたちは本当に良い体験ができました。ただ、それ以上に、反響が高かったのが引率してくれたお母さん方です。普段、訪問してみたくてもできず、敷居の高かった施設に出かけることができ、学ぶこともいっぱいあったという感想がたくさん届きました。子どもたちとも同じ経験をし、そのことについて語り合える体験もできたようです。
このように、引率や送迎という形で父母を巻き込んでいくのも、福祉教育には大事なことかなと感じます。

 

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